私がカッラーラに住むことになったのは、他でもない、私の最愛の夫、彫刻家、大木達美のせい(おかげ?)です。
石の彫刻を知って、亡き夫と結婚したときから数えると、ほぼ25年の年月がすぎます。
美術関係の大学を出た訳ではありませんが、環境のおかげで、作家の暮らしや、作品を生で沢山見させて頂きました。
その辺は、美術評論家並み、ともいえると思います。
そんな私にとって、ルネッサンス期の偉大な芸術家、ミケランジェロは、特別です。
彼は、本当にカッラーラの石を愛し、カッラーラに石を捜す為に来て、暮らしたのです。
その時のミケランジェロの暮らしや境遇は、カッラーラの人々から断片的ではありますが、漏れ伝えられていました。
カッラーラの石とミケランジェロは切っても切れない関係だと、断言できます。
そして私は、やはりミケランジェロが好き。
フィレンツェのメディチ家礼拝堂に在るミケランジェロの彫刻[あけぼのとオーロラ」を見たとき、私は凄く救われた気持ちになれたのです。
でも一番好きな作品は、ローマに在る「モーゼ像」ですけれどもーー
そんなことを思っているとき、ローマに住んでいる翻訳家・文筆家(主に美術本)の上野真弓さんが2年前にカッラーラの我家を訪ねてくださいました。
真弓さんとは、その10年くらい前に東京の共通のお友達のおうちでお会いしていましたが、その時(2年前)は、我家で二人きりでお食事しました。
その時既に真弓さんは「レオナルド・ダヴィンチの秘密」「カラヴァッジョの秘密」「ラファエッロの秘密」という本の翻訳を手がけていました。
そして次はミケランジェロの本の予定があるとー
ただミケランジェロは華やかでないので、出版社があまり乗り気ではないとー
私は、裏事情は知りませんが、芸術愛好家の一人として、ミケランジェロのファンとして、ミケランジェロのことがもっとわかる本が日本語で出来る事を願いました。
そして真弓さんに、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画の依頼が来たときに、凄くミケランジェロは苦しんでいた(というのはミケランジェロはそのとき、絵に対して自信が無かったのでした)時に、「そこ」で寝転がって岩場の間から見た空の景色から、インスピレーションを得て描いたのが、システィーナ礼拝堂の天井画だと、聞いたことがあった、「そこ」にお連れしたいと思っていました。
「そこ」は標高1200メートル以上もある高い所で、雲がかかるとそこにたどり着いても、雲の上で何も見えないのです。
そして真弓さんがいらっしゃった土曜日も天気があまりよくなくて、翌日の天気予報は雨。
「そこ」にお連れしても、何も見えません。
難しいかな、、?っと思っていましたら、翌日は何と朝から快晴。
もうこれはお連れするしか無い!と、私の車でお連れしましたら、丁度10月末だったのですが、イタリアで見たことも無いくらい綺麗な紅葉を見ながら「そこ」カンポチェチナにたどり着けたのです。
不思議な時間でした。
でもその時、真弓さんとの会話でシスティーナ礼拝堂の天井画をまだ見ていないと、申し上げたのですが、「それは必見」との真弓さんからのアドバイスで私は、その後すぐに、ローマに出向くのです。
そしてヴァチカンのシスティーナ礼拝堂で、ミケランジェロの天井画と「最後の審判」を見るのです。
感想は、なるほど天井画も素晴らしいが、もっと素晴らしいのは、最後の審判。
ミケランジェロは天井画の時は、絵に対しての自信も無かったけれど、やり遂げて賞賛を得、そして最後の審判は何だか、のびのびとミケランジェロが表現しているのがわかりました。
のびのびなんだけれど、神々しい、、、それは彼自身が、そういう人だったのでしょうね。
そしてミケランジェロは、ローマで過ごす時期は幸せだったのだと、感じました。
後からしると、未亡人の修道女に恋して、文通をかわしていたそうです。
ミケランジェロはゲイとかいうお話もありますが、心の清い人間を好きになってしまうのでしょう。
もちろんそれらはプラトニックだと、私は思っています。
今回、「ミケランジェロの焔」というタイトルで、上野真弓さん翻訳本が出版されます。
帯には、[史実に基づく迫真の伝記小説」と書かれています。
凄く興味あります。私も買ってよむのが楽しみです。
もしかしたら、ルネッサンスの大芸術家、ミケランジェロと友達になれるチャンスかも?
みなさまも是非この機会をお見逃しなく!
『ミケランジェロの焔』(新潮クレスト・ブックス)、11月29日に発売
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